ロリコン神話「崖の上のポニョ」
さかな さかな さかなー♪(違う)
「ポニョ」感想。
宮崎監督が「カリオストロの城」公開時にインタビューに答えたところでは
「手を出さないのが真のロリコンだよ(ラストでクラリスに抱きつかれ、抱きしめようと葛藤した揚句に手をひっこめたルパンについてのコメント)」だそうです。
そんなプラトニックに少女を愛する『真のロリコン』宮崎アニメの新境地。一言で言うと、結構楽しめた。
あまり宮崎アニメの熱心な視聴者ではないので「ハウル」も「千尋」も観ていないが、今回「ポニョ」だけ見てみるとパヤオオワタ\(^o^)/と言いたくなるのも頷ける。何しろ「お話」としては正直評価は難しい。
たけくまメモの評は、まさに言い得て妙。
夢の出来事を異常だと感じるのは、必ず目覚めた後なのですが、この映画はえんえんと宮崎さんの悪夢を見させられて、そのまま目覚めることなく終わります。
画材の質感そのままにフリーハンドで描かれるうねうねした線。
ねじれたパースで捉えた、デフォルメされた世界。
この不安感。支離滅裂感。
地上と海中、人間と魚、いや、もしかしたら、あの世界は生と死の区別すら、あいまいな世界なのかもしれない。
作中世界としてのちゃんとした現実なのか、死後の世界なのか、別世界なのか、主人公あるいは誰かの妄想なのか、それすら微妙な、ぼんやりしたイメージが提示される*1。これはおよそホラーである。悪夢と言われればそうかも。
だが、破壊的な悪夢ではあるが、依然として、その世界は美しく魅力的で、一介の人間が見る夢のスケールを越えている。
人間の生死や世界を超越した神の視点で語る、もはや神話である。そう、つまり、パヤオさんの幼女崇拝は、神話の域に達したのだ。
パヤオさんの基本原理である「エコ」は、今作で母なる自然、海から現れた幼い母性とともに純真さをあわせもつ、幼女ポニョに託された。「エコ」と「幼女」これこそパヤオさんの持つ信仰に他ならぬ。
産道=トンネルをくぐり、海に戻り、恋した男(注:5歳児)とともに自らを産み直す幼女はまさに神。
あの映画は老人期を迎えたパヤオさんが、全力で、自らの脳汁を搾り出し幼女への信仰告白を綴ったラブストーリー。そしてエンディングの暗転は事後の倦怠感、いわゆる、賢者モードに相違ない。
余人をして代え難い、日本が誇るまさに変態と言う名の紳士である。
これ以上は「お前は何を言っているんだ」*2と言われそうなのでこの辺にしておく。
そういえばポニョがもともと持っていた名前「ブリュンヒルデ」は北欧神話の登場人物。
歌劇「ニーベルングの指環」でのブリュンヒルデは、愛の約束を忘れ他の女と結婚したジークフリートを暗殺する事になる。
それを意識したとすれば、あのエンディングは、なんとなく悪意を感じる*3オチではあった。