タクティクス・オウガ

今更はまる。
SFCの戦術(tactics)級SRPG(シミュレーション・ロール・プレイング・ゲーム)の最高傑作。
シナリオ、ゲームシステム、グラフィック、音楽すべてよし。
しかし何より作品の色を決定づけているのは、重厚さを求めるあまり世界観考証から大きくズレてしまい、過剰に陰惨なシナリオ。

各章のタイトルだけでも凄い。第一章「僕にその手を汚せというのか」、第二章(ロウ)「誰も僕を責めることはできない」、第三章(カオス)「駆り立てるのは野心と欲望、横たわるのは犬と豚」、私はこういうノリが大好きです。

ロードス島」あたりの、貴族と騎士と亜人種とモンスターの跋扈する封建制西洋社会をモチーフにしたハイ・ファンタジー世界なのに、「革命」「階級闘争」「民族自決」なんて近現代史のビッグワードがバンバン出現。悪ノリし放題だ。ちょっと筆が走りすぎて「ヤツらはガン細胞なのだ!」なんて言っちゃうのも、ご愛嬌。

最もショッキングなのが主人公が都市単位の大虐殺に荷担するか否かを迫られるシーン。

  • 虐殺する相手が自国民
  • 敵国の残忍な所業を印象づけて国内の結束を高めるため、敵国兵に化けて自国民を虐殺する

そんな陰惨きわまるシチュエーションが最高*1

こんなの新世代ゲーム機の3D技術を駆使して描くと絶対18禁です。

……というか、ぜったい外国で売れません。某国が猛抗議するアルね?(ナンキンのことかー!!!)

あと恩人の聖騎士が物凄い拷問を受けて廃人になって妻の形見のオルゴールにわずかに反応を示すだけの残虐描写とか激ヤバい。

野原で野生の魔獣とか竜を手なずけて、ショップに売るのも超楽しいよ。

そんなこんなでSFC屈指の名作です。

*1:実はこの虐殺に荷担するか否かでストーリーが分岐して、虐殺すると主人公の属性が「ロウ」(law:法、秩序)になるロウルートで、虐殺しないとカオスルートなのだ。ここにシナリオライターの意気込みを感じる。