不正軽油

軽油は密造できるものなのか。

 組織犯罪対策4課の調べなどによると、組員らは都知事の承認を受けずに灯油と重油を混ぜるなどして軽油を密造。運送業者らに販売して軽油引取税(1リットルあたり約30円)を脱税した疑いが持たれている。脱税額は05年1月から06年3月にかけ約1億円に上るとみられている。

実はディーゼルは灯油でも回るらしい。

なぜか。それは軽油はかなり成分の幅が広く、粘度の幅が5種類に分類されていることからもわかります。(特1号・1号・2号・3号・特3号:特3号は一番灯油に近い)。これは寒い場所ではゼリー状に固まることがあるのです。寒冷地には3号などの比較的軽いもんもを使うので、そのような軽油は作らざるを得ない。またディーゼル機関全体が割とタフな環境に作られていることもあります。(エンジン自体は全世界の軽油に使えるぐらいのタフさが求められる)つまり、灯油でも動かせるぐらいのエンジンを作らないと使えないのですな。信頼性としてはしかたがないでしょう。

参考

石油精製工場−Let's Study 石油化学

不正軽油(ふせいけいゆ)とは、日本において軽油に課せられる軽油引取税の脱税を目的として、軽油に灯油や重油をまぜた混和軽油や、灯油と重油をまぜて、濃硫酸や苛性ソーダなどの薬品により脱色・クマリン除去処理を行って製造した燃料などをいう。

軽油引取税 (けいゆひきとりぜい) は、日本の地方税法に定められた地方税目的税のひとつ。 1956年(昭和31年) 6月創設。 道府県が、道路に関する費用に充て、又は指定市に対し道路に関する費用に充てる財源を交付することを目的に、特約業者又は元売業者からの軽油の引取りのうち軽油の現実の納入を伴うものに対し課す税金である。(地方税法第700条)

日本においては、クマリンは、軽油引取税の脱税防止の観点から、軽油識別剤として、平成3年3月から灯油及びA重油軽油周辺油種と呼ばれる)に、1ppm(mg/L)の濃度で添加されている。添加は石油元売業者の製油所から出荷される際に行われる。
通常、自動車用ディーゼル機関は燃料として軽油を用い、自動車用ガソリンにガソリン税が課税されるように自動車の燃料としての軽油にも軽油引取税が課税される。ところが自動車用ディーゼル機関は燃料に灯油やA重油をある程度混合しても動作し、自動車用軽油の使用が減る分軽油引取税を払わずにすむ(脱税)。
軽油にはクマリンが入っていないので、ディーゼル燃料を蛍光分析装置などで分析し蛍光反応が出た場合、灯油やA重油が燃料に入っていることが判明する。これはすなわち不正軽油使用による脱税行為その他で税当局から厳しく取り締まられることとなる。
しかしながら、クマリンが酸やアルカリによって分解されることが判明して以来、クマリンを硫酸や水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)により除去する方法を用いて違法に密造された不正軽油が日本国中に出回るようになった(この処理は俗に「クマ抜き」と呼ばれる)。但し、クマ抜きをしないで軽油同等に混合した品も、申請をして税金を払えば使用ができる(例:運輸会社の自家用給油設備)事には一応なっている。(自動車にその旨の証明書携帯が必要)
ところが、脱税に加え、不正軽油使用による大気汚染が問題となり、さらに、クマリン除去に硫酸を使用すると廃物として硫酸ピッチが発生することから硫酸ピッチの不法投棄の原因として問題となっている。そのためクマリンに代わる、酸やアルカリなどの薬品に反応しないなどの安定した特性をもつ軽油識別剤の開発が進められている。

関連

ガソリンの場合はガソリン税揮発油税地方道路税)がかかり、さらに原価+ガソリン税に消費税がかかるという二重課税がされている。
http://www.aiseki.or.jp/pc/bits/tax.html