渋谷で「温泉ロボット」が反乱

細野透氏による、日経BPらしからぬファンタジックなコラム。

 これに対して、人口が過密な都心で地下から温泉を汲み上げて、天然ガスをこっそり周囲にまき散らしてしまうとは、いったいどういうことなのだろう。

 従来、我々が培ってきた常識では、これは大きな近所迷惑であり、マナー違反であり、危険な行為と判断する。自分さえよければ後は知らないという、「享楽的な自己中心主義」の最たるものとして批判する。都心で温泉に入りたいのなら、沸かし湯でもいいではないか。

 渋谷の温泉施設シエスパにあった、源泉を汲み上げて天然ガスを除去する「温泉ロボット」は、自分の境遇にきっと疑問を感じていたはずだ。

 その挙げ句に、温泉ロボットは反乱を起こし、第一条と第三条のはざまで悩み抜いた末に、天然ガスの爆発とともに自分自身も消失してしまったのだろう。