筋肉痛の遅れについて

 歳をとると筋肉痛が遅れて出てくるといいますが、これは筋肉の衰えによるもの。筋肉痛は運動直後に起こるものと1〜2日後に起こるものがあり、それぞれ以下のような特徴があります。
■運動直後
 筋原繊維(筋繊維のもと)の損傷による。早期解消し、痛みがあるうちも軽い運動は問題なし。
■1〜2日後
 運動の際、極度の筋緊張が起こったため。ひどいものだと痛みと腫れを伴い、治りにくい。内出血していたりへこんでいる場合は肉離れを起こしていると考えられるため、動かさないように。

筋肉痛のメカニズムはいまだに完全には解明されていないのですが、筋肉にかける負荷が高ければ高いほど、激しい筋肉痛が、短い時間で発生することはわかっています。
つまり負荷が低い場合、筋肉痛はゆっくりとやってくることになります。

そして、年をとる(あるいはブランクが長くなる)と運動する機会や量が減って、そのために肉体的なパフォーマンスが落ちます。

するとそれまでは「筋肉痛が出ないレベルの負荷だった運動」が、「ゆっくりと筋肉痛が出るレベルの負荷がかかる運動」になってしまうため、翌々日に筋肉痛が出るわけです。

例えば、普段運動しないお父さんが子どもの運動会で頑張って走った翌々日に筋肉痛、というパターンはこの典型です。

そして、そうした基礎体力不足の人が、ウエイトトレーニングなどでみっちり追い込もうとしても、その前にダウンしますから、体を短時間で激しい筋肉痛が出るレベルまで追い込むことができません。

その結果、その手前の、遅れて筋肉痛が出るレベルで終わってしまう、ということが多いので「翌々日に筋肉痛が出ると年だ」ということが言われるのでしょう。

筋肉痛が運動の翌々日以降に発生すると、「年取った証拠だよ」などと揶揄の対象になる。これは「筋肉痛の加齢遅延説」とも呼ばれるが、俗説にすぎず間違いである可能性が高い。筋肉痛は年齢に関係なく、弱く長い負荷の運動では早く痛みが出て、強く短い負荷の運動では遅く出る傾向がある。しかし、年長者への揶揄として比較的定番で言いやすい冗談であることから「筋肉痛の加齢遅延説」の否定が定着する可能性は低い。なお、有効なトレーニングに必ずしも筋肉痛は必要ない。