ニコ動に舞い降りた神域のMAD 『天』最終話「欠片」 手描きアニメ
これは……放銃めない詐欺っ……!
福本伸行の作品中最大最高のヒーロー、アイドルにしてトリックスター、天才ギャンブラー・赤木しげるの死後を描いた『天』の最終話手描きアニメ。個人製作の域を越えた狂気の沙汰っ……。ニヤニヤしながら泣くしかない。
絵はもちろん、カメラワークも徹底しているし、BGM「空の欠片」も全く別のアニメのED曲なのにドンピシャで合っていて登場人物の想いと息遣いが溢れてくるようだ。
『天』の最終話のタイトルは、「欠片」。亡き赤木を慕う者たちが、削り取り、持ち帰る彼の墓石の「欠片」だ。曲名とのあまりのシンクロニシティではないか。これを見つけてくるうp主の慧眼にシビれる。
他のシーンの素晴らしさについては、もはや言うに及ばない。よって、開始30秒、何気ないこのシーンに触れておこう。
多くの者に削られボロボロになった赤木の墓前に、主人公2人。涼しい表情のひろゆき、複雑な表情で頭を掻きながらひとりごちる天。数秒の止め絵の後、天はやがて諦めたように苦笑する。
カメラがゆっくり横にパンしながら1人ずつ焦点をあてるため、ひろゆきから天に「動くものにピントが合う」という自然な演出になる。なんのことはない、普通で、素朴な人の目の動きである。それがすごく丁寧に描かれている。
この道を進んだなら いつかまた君に逢えるだろう
遠く続いていく時の中で 今日を懐かしむ きっとこの場所で
この詞の「君に逢える」が死んだ赤木に会うことだとすれば、「この道」で彼等は赤木の面影に何度も出会うということなのか、はたまた、死後の世界で会うということなのか……。
いずれにしても愛される赤木を描いた、いい動画であった。