絡みつくE.T.

久々に戻った自社で上司の上司に遭遇。
彼は一部でE.T.と呼ばれている。なぜなら背が低くて目が大きく肌が茶色いからだ。*1

E.T.は私を見つけるや、人差し指を長く伸ばして話し掛けてくる。

E.T.「久しぶりだな〜」
私「まあ『便りのないのはよい便り』と言いますので」
E.T.「便りがないのは俺を嫌っているからじゃないのか?」

なにこの態度? なぜこう絡んでくるんだ?

「そんなことないですよ〜」って言ってもらいたいのか?

そういうのがウザイので突き放すことにした。

ただしあまりE.T.の機嫌を損ねるとU.F.O.に連れて行かれるので、個人的感情ではなく一般論ということにしておこう。

私「別に嫌いじゃないですが好いてもいません」
E.T.「そうか……好きではないのか……」
私「普通、部下が上司のことを好きなんて言ったら、気持ち悪いでしょう?」
E.T.「気持ち悪いが……嫌われるよりは好かれるほうがいいしなあ……」

全く発展性のない会話のフリ方をしてくるから困る。

E.T.が近況報告に話題を変えた。

E.T.「最近は○○(プロジェクト)はどうだ?」
私「ああ……まあ大変ですね……」

そんな普通すぎる回答では収まらないE.T.は、畳み掛けてくる。

E.T.「なんか楽しいことないか? キミならではの楽しんでいることって?」
私「あるかもしれませんが、非公開です」
E.T.「そうか……やっぱ俺のこと嫌いなんだな……」
私「いやパッと思いつかないだけです」

仮に、思いついたとして、即座に説明可能で、かつ、納得してもらえるようなことであれば、到底「私ならでは」の楽しみとはいえないだろう。

というか何が聴きたいンだ?

そしてE.T.がまた何か意味深なことを言ってくる。

E.T.「俺に言っておきたいこととかないか?」
私「えー……………(考えるフリ)」
E.T.「別になければいいんだがな」
私「まあ、『言いたいことがない』ってことは、『何も文句はない』ってことで、いいことなんじゃないですか?」
E.T.「『言いたいこと』が必ずしも『文句』とは限らないだろう」

それは正しいが、実際は、サラリーマンが上司に言いたいことの大半は文句なのだろう。上司は、部下にムチ打って働かせるのが仕事だから、宿命的に文句を言われるものなのだ。

だから感情的に好かれようなんていうのはおこがましい話。

上司に対して部下が抱くことを望むべき感情は「好意」ではなく「信頼」と「敬意」なのではないか。