ひぐらしのなく頃に

ここ数年オタク方面のニュース系Webサイトで頻繁に目にしたタイトル。この夏アニメで放映されていたので観てみた(もちろんYouTubeで)。

原作は同人作品(Windows用のゲームだが、物語に影響を与える選択肢のないサウンドノベルで、ゲームと言えるのか微妙)。オタクの人たちが描く同人作品の99%はつまるところキャラ萌えと性欲に基づくものだが、同作はエロ要素を完全に排して有名になった稀有な例である。

舞台は昭和の終わり、人食い鬼伝承・民間信仰が人々の意識に根強く残る閉鎖的な田舎の村で、濃密すぎる人間関係のもつれによってグチャグチャしてるところ毎年祭りの夜に連続怪死事件や失踪事件が起き、「今年もか……!!」という感じ*1の「八つ墓村」的和風オカルトホラー+ミステリ作品であるが、怖がったり怖がらせたり殺したり殺されたり拷問したりされたり罠に陥ったり陥れたりするのはさほど上手とはいえない萌え絵でデザインされた、少年少女たちで、ここらはオタクフレンドリーだ。

本作のおもしろいところは、出題編(第1〜4話)がシーケンシャルではない点である。

同じ登場人物が同じ時空に現れ、ちょっと条件変数を変えたパラレルワールドが3回提示される(4話は補足)。読者はいくつものパラレルワールドを相互検証して背景世界を補完し、法則性を「推理」する。もちろんその試み自体おもしろいし、同一人物なのに各話ごとの印象が全然異なる(主人公の立場がパラレルワールドごとに少し変わるから)ように描いてあるのもストーリーテリングとしておもしろい。

パラレルワールドは「実はパラレルではなくループだった」と、話の途中で前回ループ分の展開を思い出すキャラが現れ、最終的にはすべてのキャラが前回ループ分の失敗を反省し最善解にたどりつくよう振る舞うようになる。まさに「人生が二度あれば」である。

実はアニメ化されていない最後の2章(皆殺し編祭囃し編)で、一連の事件の要因に、何千年も生きている神的存在+謎の奇病+闇組織の陰謀というミステリらしからぬ凄まじいオチをもってくる(という風にネタバレ感想で読んだ)。

ラストは闇組織との全面戦争。小学生が仕掛けたトラップで特殊部隊兵士を全滅、女子学生が特殊部隊隊長を格闘で破るなど、マンガ的展開に突入する。最初ミステリだと思って食らいついていた人たちは最後までついてこれたんだろうか……?


アニメとして特筆すべき点は一卵性双生児の姉妹・魅音と詩音。この2人は瓜二つで、ちょくちょく互いの扮装をして行動する。したがって魅音と詩音を二役演じ分け、あまつさえ互いに扮する2人をさらに演じ分けていた声優さんは偉いと思った。

OP曲も非常によいので必聴だ。

YouTube - ひぐらしのなく頃にOP

*1:予備知識としてひぐらしのなく頃にwikiというまとめサイトが参考になった。アニメだけ観ても全容は把握できないため、作品鑑賞の前に、これぐらいの前提知識は持っておくべきだろう。