「みんなの意見」は案外正しい
夏休みの読書感想文その1.
「みんなの意見」は案外正しい
ジェームズ・スロウィッキー
原題「The Wisdom of Crowds」。群衆が個人よりも賢くなる(ならない)事例を紹介する本。引用・事例紹介は豊富。ソースの厳密性、仮説に対する有意性の検証はされないので、体系的な議論を期待すると拍子抜けする。
集団が賢くなるための要件は以下の通り*1。
1.意見の多様性:それが既知の事実のかなり突拍子もない解釈だとしても、各人が独自の私的情報を多少なりとも持っている。
2.独自性:他者の考えに左右されない。
3.分散性:身近な情報に特化し、それを利用できる。
4.集約性:個々人の判断を集計して集団として一つの判断に集約するメカニズムの存在
多様性・独自性・分散性は、少しずつ違うが同じようなことで、要は「様々な立場の人が自分で考える」ということだ。
しかし、それらを集約するメカニズムに一部の人の恣意性が現れてくる。結局これが集合知を活かすポイントだろう。