金融工学、こんなに面白い/野口 悠紀雄
著者は「超」整理術の人(本職は経済学だった)。金融工学の重要な概念を、平易な言葉と適切な比喩や実例を使って説明していてなかなか面白い。
多様化する現代の金融商品は、すべてリスクをいかに回避する(ヘッジする)か、そのために生まれてきたと言える。リスクとは何か。
「絶対100万円損する」商品は誰も買わない。「100万円儲かるかもしれないが100万円損するかもしれない」商品を買うのはリスクをとることだ。リスクとは不確定ということである。
リスクの度合いは、期待値からのバラつき、ボラティリティ(=標準偏差)で表現される*1。
「ボラティリティが大きいと、損失も利益も増える可能性があるから、相殺しあうんじゃない?」という人もいるだろう。
でも、人が100万円得する「うれしさ」の度合は、逆に100万円損することの「かなしさ」の度合と等価ではない。
同じ価値(財)を得ても、その効用は、自分の手持ちの価値(財)が増えるにつれ減少する。これを限界効用逓減の法則という*2。
*1:参考:http://moneykit.net/visitor/risk/risk05.html
*2:これは元ネタは流体力学でおなじみのベルヌーイ先生のお仕事らしい