三菱UFJ、06年3月期最終益 トヨタと並び1兆円超

MUFGの06年3月期最終益がトヨタと並び1兆円超をマークした。旧UFJ銀行の貸倒引当金*1の戻入益が4000億円超にも達したためだ。

 ところが、金融庁が特別検査に入った後、2004年3月期にはUFJ銀行の引当率は51.4%、2004年9月期には54.9%に跳ね上がる。これは、要管理債権(要注意先に対する債権のうち3ヶ月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権)の55%がかえってこないと見込んだということだ。

 街金ではないのだから、銀行の融資の半分以上が返ってこないという想定はおかしい。金融庁UFJを追いつめるために膨大な引当金を積ませたのだ。

 追い込まれたUFJはみずほのように増資もできず、行き場を失った。なぜ増資できなかったかといえば、竹中平蔵大臣の天才的な発明ともいえるが、刑事告発を1年間留保したからである。留保されると、増資をしたくても出資者に銀行の状態を正確に説明できない。どちらに転ぶかわからないからだ。

 こうして、増資もできず、三菱東京と合併せざるを得なくなった。その条件としてUFJ不良債権処理を大幅に進めさせ、ダイエーに代表される大口融資先を切り捨てたのだ。こうして、政府の目標はほぼ達成された。

 その後の遺産として残されたのが、50%を超えるとんでもない額の引当金である。こうして、2005年9月の中間決算で、UFJは巨額の利益を上げた。それなら、合併など必要ではなかったのではないか。誰もこのことを指摘しないのはおかしい。

気の毒なのは、切り捨てられた大口融資先。不景気だから仕方ないとはいえ、小泉改革の流れ弾があたった格好だ。

*1:債権の未回収リスクに備えて積む経費のこと。