インド農村で携帯ブーム

トイレやトラクターより先に携帯電話。

社会インフラや家電、重機械類より先に、精密小型電子機器である携帯が普及するというアンバランスな近代化が興味深い。
使途は口コミの延長線上みたいだ。

ある田舎の集落に住む農家のK.T.スリニバーサさん。彼の家にはトイレがなく、畑にはトラクターもない。
しかし、村に携帯電話用の電波塔が建つと、彼は大枚をはたいて携帯電話を買ったといいます。
稲を巨大な石のローラーで潰すという脱穀法は代々変わりませんが、携帯電話が彼の農業を変えたといいます。
他の農家に電話で聞いて種まきや収穫の時期を決めたり、卸売業者と電話交渉をして米やココナツ、ジャスミンを最高値で売ったりできるようになったそうです。
まためったに時間通りに来ない集配を道端で何時間も待つことがなくなったということです。

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「せっけんって何それおいしいの?」状態。

ユニリーバ調査員が「この村でせっけんを使っていない人が何割いると思いますか?」とある村の人に尋ねると、「6割の人は使っていないと思います」「せっけんがどういうものか私には分かりません」といった答えが返ってくる。

インド農村では長年、生活に必要なものは、牛の糞(フン)など村で手に入るものを活用してきた。

手や髪の毛を洗うのに、泥(ドロ)や灰(ハイ)を利用する人もいる。

こうした自給自足の習慣が、シャンプーを主力商品とするユニリーバにとっては大きな問題となった。

そこで、ユニリーバは、大人に比べ習慣を買えやすい7?13歳の子供たちをターゲットにし、キャンペーンを始めた。

石鹸で手を洗うこと、清潔でいることがいかに大切なのかといったことを教育する。

授業では子供達に「食事の前、トイレのあと、シャワーの時、遊んだあともユニリーバの石鹸を使いましょう」と復唱させる。

そんな子供達は家に帰って、自宅に帰ると教わったことを家族に話す。

インドの農村ではテレビや新聞が普及していないため、クチコミが非常に重要な役割を果たしている。

学校で子供達に情報を流すことで、親たちにもその情報が伝わるというわけだ。