賛美歌と念仏

ある女が、夫に、友人のキリスト教徒の夫婦の話をした。

  • キリスト教徒の妻は病気になり入院してしまった。
  • 夫は毎日見舞いに来て彼女の枕もとで賛美歌を歌って寝かしつけていた。
  • そういう愛情表現にあこがれる。

「わかった」

夫は言った。

「でも、うちは仏教だからw枕もとで毎日、般若心経wwどうww嬉しいww」



では、なんで賛美歌だとオシャレで念仏だとギャグになるのか。

仏教が日本では「葬式」と「法事」だけのイメージが強いからだ。

それは江戸時代、キリシタン禁制と人口管理のための幕府の出先機関として寺院を法制化に置いたからであった。

江戸幕府は、寺の軍事力を削ぐため寺院に関する厳しい統制をかけ(寺院諸法度)、キリシタン禁制を徹底するため、民衆に寺請を強制した。これにより、すべての国民は仏教徒となっていずれかの寺に所属(檀家)することとなり、仏教は国教となった。
檀家は寺院・僧侶にかかる費用を負担し、一方、寺は檀家の戸籍を管理する任務を担うこととなり、幕府は費用を負担することなく、すべての僧侶が幕府の官僧となるシステムが作られたのであった。
寺院諸法度では、他宗派の檀家への布教や新たな寺の建立が禁止されたりして、著しく布教活動が制限された。
この結果、僧侶たちは、信者を獲得する努力は不要となり、生活を保障される一方で、布教の余地がなくなり、骨抜きにされていった。
この時代のこの制度が、現在の葬式と法事を主な仕事とする葬式仏教の起源となり、現在に至っている。