ランキング住人名簿 (1)「メルト」

私はid:kkkkkkkkはてな村に住むごく一般的なブロガー。
強いて違うところを挙げるとすれば、初音ミクに興味があるってとこかナ――。

最近毎週のようにVOCALOIDランキング記事では「門番」を連発してるが、そもそも「ランキング定番曲ってどんなの?」という説明をあまりしていない。ボカロ厨でサーセンww

たまにはノンケ(非ボカロ厨)も構わないで喰っちまうような記事を書いてみよう。

メルト

VOCALOIDランキング#38の9位。初音ミクオリジナル曲で2番目に再生回数の多い名曲。

「日本一有名なロック(笑)バンド」GLAYのプロデューサーの佐久間正英は若いときに技巧的、前衛的、実験的な音楽をやり尽くした人物だが、プロデューサーとして、あざといまでの平易でストレートなメッセージとマニアックな渋味を絶妙なバランスで両立させることに腐心してきた。
平易でなくては一般に受け容れられないが、ただ平凡ではいけない。非凡なる何かをもって人心に響かせねばならない。
凡庸すぎてはいけないし浮世離れしすぎてもいけない。そのバランスが大切だ。
しかし、そのバランスは、ニコ動では(というより、インタラクティブ型のメディアであるインターネットでは)、オーディエンスもまたプレイヤーであるがゆえ、ただ受容するだけのメディアとは在り方が違ってくる。

潜在的なプレイヤー魂に訴えかけ、多くの人を巻き込むことに「メルト」はニコ動内では最も成功した(もちろん、上述の理由から、そのままメジャーの市場には乗らないと思うが)作品だと言える。


一見「メルト」は少女の恋がテーマのごく一般的なポップスで、中高域をピアノでまとめた王道アレンジに聴こえる*1
だが、スネアとハイハットで構成されたドラムンベースの如き奔放なリズムパターンが非常にマニアック。それを8分刻みで統御するベースがかろうじて曲全体のバランスを保っている。
また、詞としては自重しないニコ厨をホイホイ誘い込むようなテーマであるが、メロディ自体は2オクターブの広域に渡る「人を選ぶ」難曲だ。

よって「歌」としては広く受け容れられつつ、「人に聴かせたい」と思うだけのテクニックを持った歌い手およびベースやドラムの奏者には、面白い、やってみたい「曲」として映る。「歌ってみた」や、のみならずベーシストの"ティッシュ姫"をはじめとする「演奏してみた」の数の多さがその証左である。

おまけ:メルト+バンプオブチキン「天体観測」マッシュアップ

*1:強いて違うところを挙げるとすれば、〈ピンクのスカート お花の髪飾り〉とか歌う女の子のピュアネスが強すぎる。だって〈女の子はいつでも耳年増〉なのが一般認識。しかし、ニコ動で発表する楽曲なので若いオタク向けに比重をおいても違和感はない。