父に娘が24年間監禁され子供7人出産

「監禁」「性的虐待」「父娘の間に子7人」という戦慄ワードが躍る。最も無惨なのは娘が18歳からの24年の人生を暗闇で過ごした事に相違あるまい。これほど脊髄反射的に、「おぞましい」「異常だ」「悪魔の所業だ」と言って誰はばからぬ事件はない。

最も恐ろしいことは、男の身に巣食う「悪魔」が、娘をその欲望の餌食にしながら、24年もの間、他の人間に悟られなかった事だ。

男は、己の中の「悪魔」に屈し、娘を生贄にそれとの共存を選んだ。残忍な決断だ。しかし、抗えない力に支配される事は誰しもないとは言えない。それが、己の身の内に潜むモノであったということなのだ。


我が娘を犯したときから、おそらく男は己の中の「悪魔」を意識した。いつしかそれに逆らう事を諦めた。自分と娘の人生を秤にかけて、娘を犠牲にしてもなお、平穏無事に生きることを望んでしまった。

「悪魔」の犠牲が監禁した娘1人で収まるなら、他人に対象を広げるよりリスクがよほど少ないと狡猾に判断したから、娘に地獄を強いながら、常人を演じ続けた。
「悪魔」を一切他に出さず、我が娘に産ませた子の半分を養子として妻と何気なく暮らし、近隣には「無類の釣り好き」のおじさんで通し、誰もを謀り、表向き平穏無事に生活し続けた。
それを24年間、たゆみなく続けることで、彼は自らの「悪魔」を律し平穏を守り続けてきた*1
でも、結局のところ、男は「悪魔」をコントロールしきれなかった。
それがゆえに、監禁した娘の子であり、己が実子でもある娘を手にかけてしまった。

 事件が明るみに出たのは、娘の1人(19)が今月半ばに重体で病院に搬送されたことがきっかけとなった。


男には、親になる資格がなかった? それはそうだろう。だが……結果論だ。「悪魔」に魅入られた人間をあらかじめ取り除こうとすれば「魔女狩り」になる。それができないのなら、すべては結果論でしか言えないわけだ。

「人には生まれながらに罪がある」と聖書に書いた人たちは、どうしようもなく恐ろしく、醜く、おぞましい人間の一面を、ありありと見てきたのだろう。そしてそれを「悪魔」のせいにして、「神」に許しを乞うのが人間だ。

*1:ジョジョ第4部最凶最大の悪・吉良吉影が思い浮かんだ。