小さな灯火・おやすみなさい〜胡蝶の夢

遺作Pって名前が同名のエロゲーを連想させるので避けていた*1が、実は1作めで「死ぬまでに一度はニコニコに投稿してみたい…と勢いで作った曲。念願適って、初投稿です。これでいつでも逝けます。」なんてコメント欄に書いてあったかららしい。
そんな遺作Pの第1作、真冬の鬱死ソング「小さな灯火」。確かにこれは遺作と言われる所以にふさわしい悲愴な内容。
【初音ミク】小さな灯火(ともしび)【オリジナル曲】‐ニコニコ動画(SP1)
【初音ミク】小さな灯火(ともしび)【オリジナル曲】‐ニコニコ動画(SP1)

サウンドは昔の火サス的で古色感はあるが完成度高。7分間聴かせようという強い意志で構成されている。
詞は特徴的で「パパとママは事故で死んだ」「怖い人におうちを取られた」とミクが悲惨な身上話を直球に語るもの。賛否両論あろうが、Vocaloidミクのキャラクター性皆無の作劇は貴重だ。
その続編が「おやすみなさい」で、一転して初音ミクMEIKOに作者(遺作P)も男声パートにて加わるハッピーなクリスマス・ソング

【VOCALOIDミュージカル】おやすみなさい【オリジナル】‐ニコニコ動画(SP1)
【VOCALOIDミュージカル】おやすみなさい【オリジナル】‐ニコニコ動画(SP1)

前作の悲劇は「怖い夢を見た」ということで一応処理されるので、ハッピーエンド派の人は「めでたしめでたし」ということにしておこう。
バッドエンド派の人は、現実は「小さな灯火」で、「おやすみなさい」は今際の際に見た幻想(まさに「マッチ売りの少女」そのもの)だと捉えるといい。
すると「小さな灯火」のラストで楽しげなクリスマス・キャロルが途中でぶつんと切れて現実に戻りフェードアウトする演出に説得力が生まれる。
どちらが本当か? それは「胡蝶の夢」が如し。誰にも分からない。

*1:エロゲーは苦手である。ゲームの合間にエロを愉しむのって「ごはん食べながらうんこする」みたいで何かいやん。