リース資産のオンバランス化

これまでは……リース契約は賃貸借処理。貸借対照表に資産計上しないでいいよ。楽チンよね。
これからは……物件を買うのと同じように会計処理を行うよ。リース物件資産/債務を同額で貸借対照表に計上してよね。
というお話。
リースのメリットは

  1. 設備投資の初期コストを軽減でき、資金の効率的運用が可能
  2. リースであればリース料が全額損金となり税制上有利
  3. リース料は有利子負債に計上しなくてよいので、バランスシートの改善になる
  4. 会計処理が楽チン(固定資産の編入・償却計算・除却等の帳簿管理、実地棚卸業務等。償却資産税も納税手続不要)

だったんだけど、会計処理は売買に準じて面倒になるし、バランスシートの改善にもならなくなるので、パソコンとか償却期間の短いものはリースどんどん辞めちゃうんじゃないかしら。

現行の「リース会計基準」では、所有権移転外ファイナンス・リース取引は、一定の注記を条件に「賃貸借処理」を行うことが認められていますが、国際会計基準では、「売買処理」を行うこととされているため、企業会計基準委員会において、国際的な会計基準の統合を背景に「リース会計基準」を見直しの対象とし、産業界や公認会計士の代表委員等を交え4年間に亘る協議・検討がなされました。
その結果、2007年3月30日に企業会計基準委員会より「リース取引に関する会計基準」及び「リース取引に関する会計基準の適用指針」(以下、「新リース会計基準」)が公表され、同日、「所得税法等の一部を改正する法律」の公布により、リース取引関連税制についても改正されました。
「新リース会計基準」及び「リース取引関連税制」の概要については、以下の資料をご覧ください。

http://www.smfl.co.jp/lease/info_070420.pdf


メルマガ「公認会計士 菅原先生の会計指南」

●リース取引の会計と税務が、この4月から改正になりますが、
 会計処理としてどうしたらいいかと、非常に悩む改正ですね。

 会計も税務も、基本的には、所有権移転外ファイナンスリース取引が、
 賃貸借取引から売買取引になる、ということで目に見える部分では、
 同じ改正です。

 しかし、それをとりまく周りの部分、裏の部分ではずい分、違っている
 ところがあります。


●まず、会計基準では、基本的には以前から、売買取引が原則なのです。
 それを、賃貸借処理の例外を認めて(要注記)いたのですが、今後は
 例外を認めない、ということになったわけです。

 税務は、はっきりしていて、今までは賃貸借処理、今後は、売買処理
 ということです。


●しかし、お互い、やはり例外があったりします。

 会計基準では、リース総額に重要性がない(リースが10%未満)
 場合には、簡便法を認めていますし、少額リースは何と賃貸借処理
 まで認めています。

 税法は、売買処理と言いながら、実質的には賃貸借処理を認める
 ような措置を取っています。

 売買なんだか、賃貸なんだか、よくわからん、というのが一般の
 皆様が不安になるところでもあるかと思いますね。


●そして、決定的に変わってくるのが、消費税の処理です。
 法人税が、リース取引は売買取引だ、と言い切りましたので、
 消費税もそれに従わざるを得ません。

 すなわち、リース契約を開始したときに、リース料総額の消費税を
 立てる、ということになります。購入の場合と同じです。

 今までは、リース料支払時に消費税は立てていましたが、今後は
 リース契約開始時に消費税を、リース総額全額分 立ててしまう
 のですね...

 これは、ちょっとやりづらい面があると思いますね。処理的に。