なるたる

「ぼくらの」作者・鬼頭莫宏の初期作品なので観ておこうと思って平均1.8〜2倍速で視聴。主人公の友達が性的暴行を受けるところだけほぼ等倍速再生。

まとめると「竜の子」というスタンド能力みたいのを操れる子どもたちが人を殺しまくる話。

第09話 「魚の命、人の命」に象徴的なエピソードがある。「人命は尊い」という良識に対するアンチテーゼが明らかだ。

  • 主人公の友達(内気な女子)と謎イケメン(人間死ね死ね団長)が魚釣り
  • 主人公の友達「魚釣り楽しい」→謎イケメン「命を弄ぶのは楽しい」
  • 魚の命と人の命とどう違う?

その裏側で、性的描写も意図的に取り込み、平然と複数の女と子を成す絶倫キャラも存在するように、鬼頭作品には性(生)と死があふれている。

「命はありふれていて、生や死は特別ではない」という主題がある。

しかし、彼の描く死は決して自然死ではない。いじめや虐殺、「父親と親友を天秤にかけられ父親を選び親友を絞め殺す」などの極限状況である。ありふれた命を描くのに、そんな追い詰められた状態である必然性は別にない。

何の事は無い、露悪的なまでに作中で少年少女を追い込むのが鬼頭莫宏という作家は好きなのだ。私はそれを「セカイ系鬼畜SM」と称している。彼の作品のファンタジー・SF設定は変態プレイのための道具・趣向みたいなものだと考えれば分かりやすい。

そう思えば、哀しいかな、「ぼくらの」をアニメ化するときの監督の口上原作で嫌いなところのひとつは、子供たちの死に行く運命を作者が肯定してしまっているかのように感じられる点です。というのは完全に的外れだったのだ。

嗜虐趣向の人に「そんなことをされたら相手は痛がるでしょう?」って説教しても、言われなくても当然、相手は痛いと分かっているからやるのである。