<ライブドア公判>堀江被告に懲役4年求刑

今年も終わりに近づきつつも、私はこの事件に関して未だあまり理解していない。ホリエモン懲役4年求刑記念にこの場でまとめておきたい。

事件の概要

 起訴状によると、堀江前社長は宮内被告らと共謀。LDの04年9月期連結決算で、自社株売却益約37億6000万円を本来は認められない売上高に計上したほか、後に子会社となる2社への架空売り上げ15億8000万円を計上し、計53億円余を粉飾決算した(有価証券報告書の虚偽記載)。同年10〜11月には、関連会社ライブドアマーケティングの株価をつり上げるため、企業買収や業績状況で虚偽発表をした(偽計、風説の流布)。

容疑事実は以下の3点。

  1. 自社株売却益約37億6000万円を売上高に計上(有報の虚偽記載1)
  2. 子会社となる2社への架空売り上げ15億8000万円を計上(有報の虚偽記載2)
  3. 関連会社LDMの株価上昇のため虚偽発表(偽計、風説の流布

容疑事実1について

総合スレの190氏が詳しい。

190 :朝まで名無しさん :2006/12/11(月) 15:18:25 id:DSzdoS+v
整理すると、貸し株売却部分の会計処理は基準が想定してなかったもの。
だから資本計上すべきと証言した伊藤教授の見解も勘案しながら違法性があったかどうかを
裁判官の判断に委ねられるという極めてグレーな状況にあると言ってよい
それ以外の自社株売却益の処理はファンドを実質支配していたか否かで結論が変わる。
ライブドアからみて自社株売却にあたる取引と認定されたら資本計上。短期差益は損益計上でも可というのは基準違反。
逆にファンドが実体のある独立した事業体であることが立証されれば当然、組合からの配当として売上計上できるのは周知の通り
でもその立証が結局出来ていないので高井は駄目という評価になるわけよ。
そもそもライブドア株式しか売却しないファンドを通常の実体のあるファンドと同一視することは無理がある
組成の経緯や運用株式がライブドアと関係性が薄いファンドだったことを証明しないと駄目だったわけ

つまり争点はファンドを実質支配していたか否かということだ。

容疑事実2について

2004年8月30日にロイヤル信販株式交換により、ライブドアの完全子会社化する事を発表すると共に、同日既存株主との間で株式交換契約を締結し、2004年10月12日に株式交換を実施。ライブドアの完全子会社になるのは、株式交換日の10月12日であるが、2004年9月中に外部企業が発注したように見せかけた取引が行われ、架空の売上を計上した疑いがもたれている。

 連結対象になる子会社の基準は、省令で(1)親会社が過半数の株式を所有する(2)持ち株比率が5割以下でも役員派遣や資金提供などで実質的に支配する――などと定められている。このため、ライブドアが支配する同組合が全株式を保有するロイヤル社とキューズ社は、子会社化の公表前の時点ですでにライブドアの連結決算対象の子会社になっていた。

まとめると、容疑としては

  • 2004年9月時点でライブドアの実質支配するファンドがロイヤル信販の全株式をもっていた。
  • よってロイヤル信販は2004年9月時点ですでにライブドアの連結対象である。
  • にもかかわらず、ライブドアはあたかも外部企業のように見せかけて同社と取引を行った。
  • そのことによって架空の売上を計上した(粉飾を行った)。

ということだ。すなわちやはり上と同じくファンドを実質支配していたか否かが争点なのだろう。

ちなみに、売上計上をずらす(期ずれ)のは、最近のミサワホームと同じ「不適切な会計処理」の範囲だ。

容疑事実3について

これも同じだ。

 一部報道によると、ライブドア子会社のライブドアマーケティングが2004年10月、出版社の「マネーライフ社」の100%子会社化を発表したが、マネーライフ社はこれ以前にライブドアが事実上傘下にしており、発表が株価をつり上げるための風説の流布に当たると見ているようだ、という。

子会社化発表以前にライブドアが事実上傘下にしていたら問題なのである。

結論

事実関係は複雑に見えるが裁判の争点としてはシンプルではないか。すべての容疑事実はファンドが実体のある独立した事業体だったか、それとも事実上ライブドア支配下だったか。何はさておき、この1点のみ詰めればよいのだろう。

論告要旨を読み直すと、

 公訴事実についての証明は十分。「各ファンドには実体があり、ダミーではない」などの弁護人のさまざまな主張は誤りであり、公訴権乱用の主張も失当だ。

ちゃんと証明してくれるらしい。今後が楽しみだ。