「聖闘士星矢」のOVA

YouTubeで「聖闘士星矢」のOVAをうっかり観てしまった。「冥王ハーデス12宮編」は面白い。特に最高位の黄金聖闘士同士が繰り広げる死闘は豪華絢爛の極みである。

主人公たちが強い敵に当たるごとにそれを乗り越え、より強くなるという構造上、話が進むごとに強さのインフレーションに陥るのは必然で、「聖闘士星矢」の最終章である「冥界編」では、小規模なビッグバンに匹敵するという禁断技「アテナ・エクスクラメーション」を、敵味方でぶつけ合うという宇宙規模のインフレMAXに到達する。

たとえるなら、RPGの最終局面でレベルを上げきったプレイヤーキャラがMPの残量も気にせず最大威力の魔法を撃ちまくるようなタガのはずれた状況が私は大好きである。スパロボでいえばリアルよりスーパー派。

特に「仏陀の生まれ変わり」「最も神に近い男」と言われ、電波なセリフをおごそかに連発し、瞑して座したまま無敵の防御壁と地獄の魑魅魍魎を操り、呪文を唱えるたび敵の五感を奪うという乙女座のシャカ。数珠を振るい曼荼羅を背景に背負い、宗教的モチーフをふんだんに盛り込んで展開される彼の戦闘シーンは、物理的に強いとか弱いとかいう次元を完全に超越した狂気の世界観が、むしろ楽しくなる。

最後には沙羅双樹の木の下で時世の句をしたためてから、さらさらと消滅するという、どこまでも人間離れしていて、あらゆる方面でファンを魅了するキャラであった。

私はこのシャカと、はぐれ者の不死鳥・フェニックス一輝が大好きなのだがあまり活躍シーンがなく残念だ。

ちなみに、最後の最後「冥王ハーデス冥界編」は最後までOVA化されていないが、前半部分だけ見る限り、黄金聖闘士たちの派手な活躍がなくなり、また、主人公がボス敵のところまで突っ込んでいくというワンパターンに堕するのであまりおもしろくない。

やはり黄金聖闘士という「お馴染みの強力キャラ」が敵味方に分かれて大立ち回りをするという、スパロボ的楽しみがすべてだと思う。