タイのクーデター
なんか腑に落ちない部分があったのでメモ。
- なぜクーデターが起きたか?
- クーデターでなくてはいけないのはなぜか?
いくつか関連資料を拾っておく。
- 神戸新聞ニュース:社説/2006.09.22/タイ政変/民主政権を早く取り戻せ
- Yahoo!ニュース - 毎日新聞 - <タイ>首相の強権・腐敗体質、クーデター招く
- 外務省: タイにおける政変(民主主義統治改革評議会による統治権の掌握)
- タイ王国 - Wikipedia
- タイ王国で陸軍によるクーデター勃発、首都制圧 - ウィキニュース
- タイのプーミポン国王、クーデターを承認 - ウィキニュース
- バン週編集部発、タイの出来事を読む: 次期暫定政権への提言「貧困対策を軽視するな」
- タイの歴史 - Wikipedia
- タイの政治 - Wikipedia
- タイ王国陸軍 - Wikipedia
- タイ軍事クーデター (2006年) - Wikipedia
- タクシン・チナワット - Wikipedia
- タイ・クーデター:陸軍司令官が暫定首相に 現政権は崩壊−今日の話題:MSN毎日インタラクティブ
これらの記事を読むと
- タクシン首相の強権体質・金権腐敗・マスコミ統制は批判にさらされていた
- 首相は自らの不祥事で退陣する意向を示したが、そののち公務に復帰している
- 下院選挙について
4月2日に下院選挙が行われたが、民主党など主要政党がボイコットし、タクシン首相が率いる与党のタイ愛国党が大半の議席を占めた。しかし、プミポン国王が野党不参加の総選挙の可否について憲法裁判所の判断を求めた。同裁判所は4月2日の総選挙無効の裁定を下した。8月25日、国王も選挙のやり直しに署名し、10月15日に下院選挙のやり直しが行われる。やり直し選挙には与野党とも参加する意向を示している。このような中で9月20日、国王を担いだ軍によるクーデターが発生。国王親政の「民主主義統治改革評議会」を置いて三権を停止している。
- 国民から絶大な尊敬を集めるプミポン国王側近からタクシン首相に対する批判が高まっていた
- タイの歴史をひもとくと1992年まで短期間の点々とした民主主義政府以外は軍政下にあった
- タイの陸軍はエリート化し強い政治色を帯びクーデターを繰り返した
- 陸軍司令官は「できるだけ早く立憲君主制を回復し、 主権を国民に戻す」と宣言している
まとめ
タイでは軍部の力が極めて強い。立憲君主制といえど1992年まで軍政が日常(日本の鎌倉〜江戸時代の武士のように)で、以降、民主主義化したとはいえ陸軍は政治に根強い影響力をもっている(戦前の日本のように)。
また、国民は国王を非常に敬愛している。今年国王の即位60周年記念を祝賀し国中の国民が月曜日生まれの国王のための黄色いシャツを着ていた*1ほどだ。
すなわち、国王と軍部が結託してクーデターを起こした場合、国民は積極的賛成ならずも承諾せざるを得ない社会的背景がある(むろん民主主義的にどうかは別)。
かつ、軍政が常だったタイでは、クーデターというのは日常茶飯事で、あまり切羽詰った政治的選択肢ではないらしい。だから「クーデターでなくてはいけないのはなぜか?」という、クーデターが危機的状況だという日本の社会的前提に立った冒頭の質問は、そもそも意味がない。
結論
- 冒頭質問への答え
- タイではよくあること
*1:タイでは生まれた日の曜日を重視する。また、各曜日に色が対応していて、黄色は月曜日生まれの人の色。