娯楽としてのラノベ

小説を読まない私が言ってみます。
しるくたんの懸念も理解できるけれども、ラノベというメディアが萌えキャラ絵などのアピールポイントを押し出す今のスタイルを取る限り必要以上に資本主義的な体質になる宿命を帯びているように思います。
なぜならば、ラノベというのは

  1. 娯楽としての即効性・効率性に欠け、
  2. それゆえ市場規模や消費速度で分が悪く、マニア向けで、
  3. その分、客単価を高めるためのシリーズ化は必要

だと思います。

1) マンガや映像など人間の視覚に訴えるメディアには、即効性・効率性で小説は敵わない(というより異質)です。私も活字嫌いな方ではないですが、小説は読者が世界に入り込むための初期コストが高く敬遠しがちです*1

2) 上記1ゆえに、市場規模の広がり、消費速度に差が生まれます。必然的に同じ物語を描いても「マンガなら一般向け」「小説ならマニア向け」となります。

3) 1, 2の背景をもとに、ラノベ業界が今の業態で稼ぐには、人気のあるシリーズで固定ファンの客単価を上げるという戦略が「正解」なのでしょう。

ラノベの今後

ラノベは今のように異質なメディアと一緒に扱われる限り、過剰に資本主義的な体質に傾かざるを得ません。
そこから脱却するには、
「オタク向けのアピールをやめ、市場を縮小してSF/ミステリのような1ジャンルとして確立すること」
でしょうかね。そうすると今のラノベの外郭はなくなり、後から見ると菊池秀行や夢枕獏など伝奇系やバイオレンス系の娯楽小説もラノベの範疇に入ってくるんでしょう。

もちろん、今のようなラノベの形(ありていにいうと萌え絵)を残してなおラノベが裾野の広い豊穣な市場として生き残るという希望もあります。そのためには、「ラノベ手塚治虫」的な人物が必要でしょう。これだけオタク向け文化が隆盛し、分化・派生していると難しい気もしますが。

*1:少なくとも私の場合まとまった時間が必要です。飽きっぽいから短期決戦しかできないのかもしれませんが。