トヨタ生産方式の神話と現実

タイム・コンサルタントの日誌からの興味深いエントリ。

トヨタ生産方式として知られる「かんばん方式」はプル型の受注生産だが、それはすなわち「生産計画が不要」というわけではないというお話。

「かんばん」があまりにも有名だからかトヨタ生産方式はプル型の受注生産で、生産計画など持たない」という認識が広まっているらしい。
が、それはトヨタ自動車自体には当たらない。彼ら自身は、きちんと生産計画をたてて実行している

では、なぜ、「計画不要論」がトヨタの名前と結びついて広まったのか。私は一つの仮説を持っている。それは、自動車業界のサプライチェーンの特徴から説明できる。

というのも、カーディーラーはメーカー別に統制され、部品生産も統一されている。ここが他業種とサプライチェーンの形態が異なる点だ。例えばPCなら小売店ではメーカー問わず並んでいるし、部品も互換性が高い。
つまり自動車産業サプライチェーン特有の事情により、生産計画を統御するポイントは1箇所に集約できる。

むしろ部品メーカーが勝手に、車両メーカーの計画を無視して、余計な生産計画などを立て始めたら、余計な在庫が発生しコストアップにつながる可能性が高い。だから、「考えるのは自動車メーカーのみ。あとの部品メーカーは、その計画に従うように制御されていればよい」という論理が成り立つ。その制御のツールとして、『引取りカンバン』が使われるのだ(今はほとんど電子化されているが)。

おわかりだろうか。『生産計画不要論』は、自動車業界で、部品メーカーにとってのみなりたつ論理なのである。この前提条件を理解せずに、どこの業界に対してもドグマとしてふりまわせば−−それはもはや、神話とよぶべきものだろう。

私も銀行屋さんにドナドナされる前は産業系のERP屋さんでしたので、とても興味深く読めました*1

*1:ぶっちゃけJavaとかやってなかったのです!!1