SAMURAI DEEPER KYO

22巻まで読んだ。メモ。
本作は週刊少年マガジン連載。35巻も刊行されているので連載の方は大分ストーリーが進んでいる。

山田風太郎魔界転生」的ノリ。秘術で復活した織田信長とかと戦ったり、そういうお話です。

主人公は優男の京四郎と最強の剣客「鬼眼の狂」の人格を併せ持つ多重人格者。少年マンガ誌において時代劇・剣豪モノは割とあるが、(序盤を除き)凶悪な人斬りが基本人格のピカレスク的主人公のキャラクター性と、日本史を裏から操る超能力を持つ一族という伝奇的設定を加味した点が独自性だと思う。とはいうものの、画風には時代劇っぽさや伝奇性はなく、やけにスタイリッシュで今風。世界観が伝わらず、物足りない。

それから、基本は時代物のはずなのに剣劇で魅せる自信がないのか、大ゴマで必殺技を出すと、盛大に炎や氷が飛び出したり鳳凰が飛翔したりするものだから、戦闘力のインフレが物凄い。「るろうに剣心」ぐらいの演出に留めておくべきだった。

それと戦闘描写にヒネリはなく、ワンパターン。逆境はいつも根性と友情と奇跡で引っくり返す。そんな一昔前のマンガチックなノリも愛すべき点なのかもしれないが、ストーリーは骨太なのになぜかチープに見えて損だ。

それなのに戦闘中のスピード感はやけにいいから読み飛ばされる作品ベスト1だ。