今日の464-「武装錬金」
あらすじ
まあ大体こんな話。
概観
和月という人は本当にマンガが好きな人である。
パクリと言われるほど、他作品の要素を徹底的に分析し、自作にフィードバックする。
自作に対するスタンスもそう。作者自ら、単行本に全キャラクター解説と各話解題を設け、自作に対する分析と反省を繰り返す。
作家とは作品で語るものだが、彼自身が作家である以上に一介のマンガオタクなのだ。
だが、それが逆に、彼の足かせなのだろうか。作品全体が、妙にまとまりすぎて、枠にはまって見える。「武装錬金」がモチーフの一部としている「うしおととら」とは、1つ1つのシーン、1人1人のキャラから受ける印象度が違いすぎる。同作家の新作「からくりサーカス」を読んでも、キャラクターの息遣い、熱量、印象の差は大きい。
作家・和月に似合うのは、激情・狂気・欲望のドロドロした、熱いせめぎ合いではない。幕末の志士が相添わぬ理をもち刃を交える、冷たく鋭利なあの世界観なのだ。そして、血塗られ屈折し傷つきながらも、信義を貫くダーティでクールな主人公キャラ描写こそ、彼の最も得意とするところではないか?
ただ、ライバル・パピヨン蝶野のデザイン、コミカルなやりとりを描くパートや、「ジョジョ」のセリフの露骨な引用など遊び心の部分は出色。彼はマンガを楽しめる人だ。真面目で知的なオタクであるがゆえに遊びの限度を超えられないのだろうが、これからは遊んでよい。パクリ上等。おkkkkk
ちなみに、連載の空白期間、彼は(自分のアシスタントをしていた尾田栄一郎の作品)「ワンピース」の二次創作同人誌を描いていたという。下手なプライドを持ち合わせない、純粋なマンガ人なのだ。その心意気はよし。だから次は素直に萌えとパクリと遊びで勝負である。ブチ撒けろ!!!
雑感
背景:和月伸宏について
- 1994〜99年「るろうに剣心」の大ヒットを得る。
- 2001年「GUN BLAZE WEST」で打ち切り。
- 2003年、本作を手がける。臥薪嘗胆、起死回生の一作である。
- ただしこれも打ち切り!!!!!
*1:↑これ押すと直リンク。