今日の464-「武装錬金」

和月伸宏/武装錬金

464.jpには1〜8巻まで収録*1(最後の1巻だけ抜いとくのは正)。

あらすじ

まあ大体こんな話。

  1. ホムンクルス(人食いの化け物)と錬金術武装錬金)で戦う人たちの話。
  2. 主人公はそれに巻き込まれて一度、死亡。
  3. 武装錬金を心臓に埋め込まれて復活。
  4. そのまま戦う人たちの仲間入り。
  5. 話が進み、主人公は化け物の親分と戦う。
  6. 化け物の親分は実は主人公と同じ武装錬金を埋め込まれた人。
  7. 主人公も徐々に化け物の親分と同じようになっていく? みたいな?
  8. 前まで仲間だった人が「おまww化け物ww殺すw」
  9. 主人公「ちょww俺ww化け物嫌www人間に戻るwww」
  10. とりあえず化け物になる前に化け物の親分倒しとくと、何とかなるかな?

概観

和月という人は本当にマンガが好きな人である。

パクリと言われるほど、他作品の要素を徹底的に分析し、自作にフィードバックする。
自作に対するスタンスもそう。作者自ら、単行本に全キャラクター解説と各話解題を設け、自作に対する分析と反省を繰り返す。

作家とは作品で語るものだが、彼自身が作家である以上に一介のマンガオタクなのだ。

だが、それが逆に、彼の足かせなのだろうか。作品全体が、妙にまとまりすぎて、枠にはまって見える。「武装錬金」がモチーフの一部としている「うしおととら」とは、1つ1つのシーン、1人1人のキャラから受ける印象度が違いすぎる。同作家の新作「からくりサーカス」を読んでも、キャラクターの息遣い、熱量、印象の差は大きい。

作家・和月に似合うのは、激情・狂気・欲望のドロドロした、熱いせめぎ合いではない。幕末の志士が相添わぬ理をもち刃を交える、冷たく鋭利なあの世界観なのだ。そして、血塗られ屈折し傷つきながらも、信義を貫くダーティでクールな主人公キャラ描写こそ、彼の最も得意とするところではないか?

ただ、ライバル・パピヨン蝶野のデザイン、コミカルなやりとりを描くパートや、「ジョジョ」のセリフの露骨な引用など遊び心の部分は出色。彼はマンガを楽しめる人だ。真面目で知的なオタクであるがゆえに遊びの限度を超えられないのだろうが、これからは遊んでよい。パクリ上等。おkkkkk

ちなみに、連載の空白期間、彼は(自分のアシスタントをしていた尾田栄一郎の作品)「ワンピース」の二次創作同人誌を描いていたという。下手なプライドを持ち合わせない、純粋なマンガ人なのだ。その心意気はよし。だから次は素直に萌えとパクリと遊びで勝負である。ブチ撒けろ!!!

雑感

  • 主人公の高校の女生徒の制服のデザインがかわいい!
    • ヒロイン・トキコさんが扉絵を除いて本編では一度も着ていない! → 残念である。
  • ヒロインの決めセリフ
    • 「エロスは程々にな」
    • 「内臓(はらわた)をブチ撒けろ!」
  • 抜群なのがパピヨン
  • ブラボー!
    • おお…ブラボー!!
    • パピヨンとブラボーがファーストフードでカチ合うシーン!
    • 素晴らしい。ありえない完成度。
  • やっぱ、世間からズレた変態キャラの描き方は秀逸だなあ。

背景:和月伸宏について

  1. 1994〜99年「るろうに剣心」の大ヒットを得る。
  2. 2001年「GUN BLAZE WEST」で打ち切り。
  3. 2003年、本作を手がける。臥薪嘗胆、起死回生の一作である。
    • ただしこれも打ち切り!!!!!

*1:

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