化学物質を使用していない健康食品

http://simple-u.jp/pdone.php?id=612

化学物質を使用していない健康食品というものがあるが、科学者の立場からすれば世の中食べ物すべてが化学物質だろう。もちろん、人間も化学物質である。

化学物質とは化学の研究対象となる物質。また、化学的方法によって人工的に合成された物質とある。前者の意味なら上記のとおりなのだが、健康志向の人が「食品に対する化学物質の有無」を気にする場合、通常、後者の意味、すなわちその物質の抽出に化学的・人工的な工程を経たか否かが焦点である。

それを前提として、「化学物質」と健康との関係を考えると、結論から言えば「化学物質」と健康は関係がない。
ある物質を人工的に生成したか、自然界由来のものから抽出したかにかかわらず、同一の物質であれば薬効性・有毒性は同じであろう。
たまたま自然界に存在しないものを人間が作り出して、それが有害だったことの事例が多くあり、化学物質の危険性を強く意識するだけである。

たとえば漢方薬が自然の生薬を配合したものであるから良いかと言われると、眉唾ものである。
西洋医学のように、病原に対する薬効成分をピンポイントで投与しない分、相乗効果が期待できるかもしれないが、反面、副作用のリスクをはらんでいるとも言える。
過剰な自然志向は無意味、ことによると危険であるということだ。