最近人を怒らせた言葉

「要するに辞めろと言われていることだけは分かりました」

帰省中、思い出したので書いておきます。

一番最近人を本気で(?)怒らせて印象に残っているのは、数年前、学生時代のアルバイトで学習塾の講師を務めていたとき最後に塾長に言った言葉でした。

そこは私も小学生の頃から通った塾で、初代塾長とは顔なじみだったのですが、私がバイトに入る直前の年、財政悪化で塾長が交代していました。
後継塾長はもともと別の塾の経営者で、2つの塾をかけもち管理するのが困難と判断し、翌年、自分の塾で使っていたバイト講師を塾長に任命します。
彼が経営再建を目指して講師陣の入れ替えを敢行、私はリストラの憂き目に遭ったのでした。

さあ、いざ肩叩きという日がやってきて、彼はよほど熟慮したのでしょう。彼自身の立場、責任感、とるべき経営方針など、私を辞めさせるにあたってのやむを得ざる思いをとうとうと話すのです。

そして、最後に「分かってくれたか?」

私は、冒頭のセリフで即答。
――塾長、激昂! と、かく相成るわけでした。

ちなみに悪気なしに答えてます。なぜ彼が怒りを感じたか、当時はいまいち理解できませんでした。

私にとって、解雇を宣告するという結論以外はまるで重要でないのです。そして、それは相手にとっても同じだと考えました。だから反射的に答えたのです。
私に解雇の事実を納得させるため言葉を費やしたのだとすれば、それに不満がない、少なくともそこは分かったと言っている私に、何ぞ怒りを覚える必要がありましょうや。

つらつら思うに、彼にとって、あの口上は私を説得しようとしたというより、自分に対する弁解だったのです。内心うしろめたさを感じていたのだから、その言い分がにべもなく拒絶されれば、怒りを感じるのも、当然といえば当然なのですね。

教訓を一言でいえば、「お互い大人になって相手の立場で考えようね」ってことなのですけどね。