龍狼伝

そういえば最近、Mr.Tundereことid:rerasiuさんのところが三国志大戦の話題でもちきりですね。
三国志ブーム再燃ですか?
三国志といえば私も思い出したことがあります。
月刊少年マガジンの「龍狼伝」。三国志をテーマにした作品です。10年以上続いているでしょうか?

未だに絶賛連載中ですね。
主人公は三国志マニアの普通の高校生。
修学旅行中の飛行機で事故に遭遇!
気が付いたら、幼馴染の女の子(定番)と一緒に三国時代の中国にタイムスリップしてしまった!!!

2人は、血で血を洗う戦の真っ只中へ、投げ出されてしまう。
そこはなんと、樊城に駐屯していた曹仁・李典の軍に応戦すべく、陣を構えていた新野・劉備軍陣地であった!
このとき、あろうことか、彼らを助けるため、劉備軍の軍師・徐庶が命を落とす。
徐庶という人物は、「三国志演義」ではこの後、母親を人質にとられ、不本意ながら曹操の下に降るはず。それが、ここで死んでしまった。つまり、歴史が変わってしまった!

息を引き取る間際に徐庶は主人公に謀略を託す。
主人公は、徐庶の謀略と、三国志の知識を生かし、辛くも敵を退ける。だが、幼馴染の女の子は曹操軍に拉致され、引き離される2人(定番)。

主人公は、彼女を取り戻すため、劉備軍に加担するようになる。戦場に時空間を越えて(タイムスリップして)現れた、人ならぬ者、「竜の軍師」として。

2人は果たして戦乱の世で再び出会うことができるのか?
そして現代に還る術はあるのか?

……という、戦国時代や太平洋戦争を題材にした「逆転!」シリーズ、または「戦国自衛隊」みたいなifシミュレーションものですね。

主人公は、この後、「竜の軍師」と呼ばれ、徐庶の代役をしながら劉備軍に随行し、軍師・諸葛亮の登場を待つという、非常に渋いポジションで物語を進める……はずが、連載開始からしばらくして、あまりにも地味だったせいか、編集部からのテコ入れが入ったのか、あるいは作者がifシミュレーションの限界を感じたのか、突如主人公は仙人・左慈から武術と神仙術を教えられ、三国志の英雄と対等以上にわたりあう超絶秘技をバンバン繰り出すキャラに大変身!!!!!

三国志に詳しいだけの普通の高校生、の、はずが……!

かくして、現代人の主人公の目を通した三国志のパラレルストーリーは、結局、オリキャラのぶつかりあうスーパーロボット大戦へと突入!!!
もはや、ただの同人誌*1です。

もう講談社漫画賞を受賞してしまった時点で、作者はこのシミュレーションを続ける気をなくしちゃったんでしょうね。
三国志とは関係なく妙に固定人気がついてしまったせいで、死にぞこなってしまった、三国志関連作品と呼ぶにはあまりにも痛い作品の1つではあります。

今のブームの下にはこうした(生ける)屍が横たわっているわけですね。

ちなみに、主人公は中国人とのハーフだから、三国時代の英雄とも問題なく話せます!!*2

*1:三国志関連の創作物はある意味、全部同人誌なのかもしれませんけど。

*2:そもそも1千数百年前の話ですし、現在の中国公用語(北京語)は清王朝の影響下で満州語をベースにしていますから、現在の上海付近の言葉と比べてもほぼ別言語です!