アーマーリングとゴシック・ロリータと本地垂迹説
セックス・ピストルズをプロデュースした、由緒正しいパンク・キッズのシンボル。それが、ヴィヴィアン・ウェストウッドであります。
「本能」のナースルック鏡ブチ割りで一世を風靡したあの椎名林檎もご愛用のアーマーリングは、あまりにも印象深い。
しかし、ヴィヴィアンは同時にロリータ・ファッション少女たちの好むブランドでもあります。
なぜ? 19世紀のフランスに生まれたかったノーブルでエレガントなドレスを纏うお姫様たちが、なぜ武骨なアーマーリング??
それは実に少女たち自身が、少女たちを、単純な白無垢であるとは思っていないし、同時に、かわいいだけの少女たちを愛することはできないと理解しているからなのでしょう。ある種の自己表現であり、武装であるとも言えます。
かつて私に「ありのままの自分になんて100円の価値も無い」と言った女性がいます。だから人は何かで武装するのです。それが世界的有名高級ブランドという形であるか、それとも知る人ぞ知るロリータ・ファッションであるかの差は、社会的価値に重きを置くか、自分のセンスに絶対の自信を持つかの違い*1なのでしょうか。
とまれ、純粋無垢なロリータの白の裏側に、少女は黒をも内包します。
それを表現するのが、ゴシック・ロリータ。略してゴスロリ、さらに略してゴリと呼ばれます*2。
ゴシックとは古い城などの建築様式のこと。いつもゴシック様式の古城ではドラキュラ伯爵が眠っていたり狼男が唸っていたりします(映画の中の話ですが)。
そこから転じて、ゴシックとは邪悪で、デモニックなもの、退廃した不健康な黒のイメージを作り上げる言葉になったのです。
ひらひらふわふわしたゴスロリ少女たちが好んでゴツゴツしたブーツを履くのは、元のゴス(ゴシック)が、ブラックのレザーでまとめたバイカーファッションであったからです。
ここにパンク文化が混じったのは、サブカルチャーの最たるもの、ポップ・ミュージックの影響でしょう。ことに日本の場合は、ロリータ・パンクの第一人者であったカリスマ・YUKI(JUDY AND MARY)の影響は絶大です。
パンク系ロリータ・ファッションをしている人に訊けば、ほぼ例外なくYUKIが好き。間違いありません。
トンがっているけど少女っぽくて純粋な印象をあたえるパンク・ルック、悪徳・退廃を思わせるゴシックファッション、そしてロココ調のデコラティブなある種マンガチックなドレス。
それらがこともあろうに違和感なく融和、一体化して、ゴスロリという1文化になったのは、やはりここが八百万の神の国、日本であるからなのでしょう!!
- 神様と仏様どっちを信じれば……
↓
- めんどくさいから神様と仏様一緒でよくね?
↓
↓
- お前マジ頭いいな
という国であり、
- トンカツ好きだしカレーも好きだ!
↓
- じゃカレーにトンカツ乗せればよくね?
↓
- お前マジ頭いいな
という国ですから。