お医者さん

週刊少年サンデーワイルドライフという獣医モノの漫画が連載されています。
獣医モノといえば『動物のお医者さん』を嚆矢として、主戦場は少女漫画でした。
そこに、週刊少年漫画雑誌のテイスト(熱血主人公、クールなライバルもしくは師匠格、悪の秘密結社との対決、信じれば願いはかなう、努力・友情・勝利)を加えた斬新な作品です。

また、本作は獣医漫画でありながら医者漫画の要素を強く組み込んでいます。
医者というのは社会的に大きい存在です。漫画の世界もしかり。『ブラックジャック』をはじめ、医者をテーマにした作品がごまんとあります。
その多くが、医療の本質である仁の心:ヒューマニズムと、その対価である(はずが、一部の医師の主目的となってしまった)権威・金の対決構図になります。
動物相手であるせいか、若干ノホホンとしたイメージがありますが、獣医も医者のジャンルの一つとして考えれば、やはりヒューマニズムと金儲け・権威主義の対決は間違いなくあるはずです。
これまで、主に少女漫画の題材だったために、その面がクローズアップされることがなかっただけかもしれません。

そこを少年漫画的な(つまり、キャラクターの誇張と細部のシンプルな切り捨てによって、コントラストをはっきりさせた)演出で、ゴリ押し表現しているところが素晴らしい! 肝心の医療部分は、ちゃんと取材に基づいて描かれているので、動物絡みのウンチクも身についていきます。一押しです。